30年近くの信頼が、「最後の家」で崩れた

30年近くの信頼が、「最後の家」で崩れた

30年近く付き合ってきた地元の不動産会社があります。

これまでの仕事には満足していましたし、信頼がありました。

沖縄での長い活動から、生まれ育った神奈川に戻り、音楽スタジオで、残りの人生、再び音楽を作って、アプリやゲームに入れよう。

「ここが人生で最後の家になるだろう」と思って購入した家のリフォームも、迷わず同じ会社にお願いしました。

工事が始まったのは2025年11月で、今は2026年9月

ところが、その工事が終わりません。

僕は2026年5月30日に入居しました。本来の引き渡し予定は6月30日でした。

「1か月くらい延びるのは大丈夫です。その分、品質を上げて、きちんと完成させてください」

と確かに伝えていました。

職人さんたちは暑い中、一生懸命に作業してくれていました。

ただ、僕は大きな音がとても苦手ですし、1ヶ月2ヶ月と期限が過ぎると、

予定が見えなくとても不安に押しつぶされそうで、涙も不意に出るようになりました。世間的に高額な4,000万円のリフォーム費用だからなのか、音楽が作れないのか、理由はわかりません。毎日重い気持ちでしんどいです。

連絡をしても、会社としての対応をしてくれませんでした。

だんだん自分の家に帰ることができなくなりました。

しかも、単に工期が延びているだけではありませんでした。

  • 家の中には、いまだに取り付けられていないドアがあります。
  • 音楽スタジオには、本来入るはずだった防音用のガラス扉がなく、音がそのまま外へ漏れています。
  • 配線も露出したままです。
  • 窓が開かない。
  • 冷蔵庫と収納の寸法が合わない。
  • トイレの手洗い器に水がつながっていない。
  • テレビを見るためのアンテナもなく、置き場所も決まっていない。

外壁塗装についても、当初予定されていたはずなのに、後から「やらなくてよいと言われた」という説明を受けました。

この家が、いつ、どんな状態になれば完成なのか分からなくなったことです。

僕は、ITのプロジェクトを経験しましたが、大規模開発の場合、最初から、しっかりデザイン資料や工程管理をしてきました。物品の納入なども早い手配をしていれば、ナフサの影響も受けずに円滑に済んだのです。だから、自分ではどうでもできない不安が、特性である吃音で声が出しづらいなど、症状で現れ出しました。

目次

最初に、リフォームをする方へ伝えたいこと

この話は長くなります。まず、今回の経験から僕が感じた「何が足りなかったのか」を先にまとめておきます。

完成イメージ最終的に家がどう完成するのか分かりにくかった部屋ごとの完成図、3D、展開図
詳細図面スタジオのケーブル穴や設備配置が施工段階で問題になった配線、設備、収納内部まで含めた詳細図
現地調査冷蔵庫寸法や窓など、施工直前になって問題が分かった工事前の採寸と既存設備の調査記録
変更管理外壁塗装など、当初予定していた工事の扱いが分かりにくくなった変更内容、理由、金額を記録した書面
工程管理いつ何を施工し、いつ完成するのか見えにくかった更新される工程表と完成予定日
未施工管理何が残っているのかを施主側が確認する状態になった未施工一覧、担当者、施工予定日
費用管理修正や追加のたびに追加費用の話が出た当初予算、変更額、累計金額の一覧
責任者担当者個人とのやり取りが中心になった会社として全体を管理する責任者
引き渡し確認入居時点でも設備や工事が残っていた引き渡し前の検査とチェックリスト
記録途中まで口頭でのやり取りも多かったメール、議事録、承認記録

30年近く前、僕は雨漏りするアパートに住んでいた

20歳のころ、僕が育った街、横浜の上大岡で、雨漏りをし、崖崩れの心配もあるような古いアパートに住んでいました。お金もありませんでした。

幸運にも入社したゲーム会社で大きなチャンスをいただき、音楽ゲーム「ビートマニア」がヒットしました。ようやく普通の家に住めるようになったころ、その後30年近い付き合いになる地元の不動産会社の方が、とても熱心に物件を探してくれました。

30代になり、子供たちが大きくなると、同じ不動産会社から2つ目となる築古の戸建てを購入し、リフォームもお願いしました。

さらに最近、この不動産会社から会社用の物件も購入しました。駅近でありながらかなり古い建物で、倉庫兼事務所としてリフォームをお願いしました。

機材が並ぶ倉庫のような仕事場で、遊び心もあり、入るだけで楽しくなる場所になりました。本棚も面白いものを作ってもらいました。

そのときは、担当者や職人さんの細やかな仕事に本当に感動しました。「さすがだな」と思いました。置いてあるMoogともよく似合っています。

職人さんが仕事をしやすいように

以前、横浜の上大岡の家に住んでいたころは、職人さんと一緒に僕もフローリングを貼ったりしていましたが、今は職人さん不足など、建築業界が大変だという話も聞きます。

以前のリフォーム時の作業風景

僕も経営者なので、支払いが必要ならできるだけ早く支払う。職人さんが仕事をしやすいように飲み物や差し入れを用意する。部材についても、入荷待ちにならないよう、基本的には先方が調達できるようにお金は早く支払ってました。

工事は2025年11月に始まりました。しかし、2026年8月になっても完成しません


少しずつ、「何かおかしい」と思うようになった

築30年の家なので、フルリフォームとして外壁塗装も行う予定でした。5月30日の入居を前に、「外壁塗装はやらなくてよいと、私から言われた」という趣旨の説明を受けました。

僕にはそのように伝えた記憶がなく、止める理由もありません。古い家だからこそ必要だと思っていた工事です。

1.スタジオに防音扉がない

スタジオの入り口には、本来、防音用のガラス扉が入る予定でした。しかし、現在も取り付けられていません。写真の奥がシンセサイザーを置いているスタジオです。

防音扉が未設置のスタジオ入口
本来、防音用のガラス扉が入る予定の場所。
工事途中のスタジオ
現在も工事が残っているスタジオ周辺。

防音室なのに扉がないため、当然ながら音は外へ漏れます。スイッチを押して、屋外の照明はつきません。

2.配線が露出したまま

スタジオ周辺の配線も、いまだに露出したままです。いつ、どのように仕上げるのかが見えない状態が続きました。

3.開かない窓

「窓のノブは壊れているので、開かないままでよいですよね?」と言われたこともありました。

緊急時のことを考えても、本来開くべき窓が開かないのは困ります。

開閉部品に問題があった窓

「窓のノブは特殊なので手に入りません」との説明でしたが、調べてみると北欧系の建材を扱う店では販売されていました。

4.入居直前に分かった浴室の窓

ユニットバスを入れる際には、入居の1週間ほど前になって「お風呂に窓が取り付けられない」という話になりました。

浴室工事の様子

僕自身は風呂の窓に強いこだわりがなかったので、「それなら窓をつけなくてもいいです」と伝えると、「あー、よかった」とのことでした。それ以前に、なぜ入居直前になって分かったのだろう。事前の設計や調査はどうなっていたのだろう、と思うようになりました。

5.冷蔵庫、収納、テレビの位置

冷蔵庫と収納の位置も揃っていません。以前のリフォームでは冷蔵庫の寸法まで測りに来てくれましたが、今回はありませんでした。

収納と冷蔵庫の位置関係
冷蔵庫と収納の位置関係。

テレビをどこに置くのか、ダイニングテーブルをどこに配置するのかという想定も見えませんでした。テレビアンテナも用意されていないため、入居から3か月が経ってもテレビを見ることができませんでした。

冷蔵庫については、「測っていませんでした。すみません。追加予算で修正します」との説明でした。

気づけば、僕が指示をするようになった

収録ブースとスタジオの間には、マイクなどのオーディオケーブルを通す必要があります。しかし、そのための穴がありません。

専門的なことは分かりにくいだろうと思い、僕自身が資料を作って説明しました。それでも、実際にはケーブルを通す穴が作られていませんでした。

スタジオについて自分で作成した説明資料
スタジオについて僕自身が作成した資料。

「本来、私たちがやるべきことでした」という話ではなく、いつの間にか、こうした確認や設計の補足が僕の仕事になっていました。

タイルにも大きな段差があった

家の中でも同じようなことが続きました。リビングのタイルには、コインほどの厚みに感じる段差があります。以前お願いした物件ではきれいに揃っていたので、今回は余計に気になりました。

実際のタイルの段差。

トイレでは、手洗い器の水がつながっておらず、約1か月、手を洗えない状態でした。催促して、現在はつながっています。

手洗い設備

一番わからなかったのは「完成形」

通常の工事費とは別に、デザインに関する費用も支払っています。本来、リフォームはデザイン込みでの受注ですが、先にお金を払って進めてもらいたいこちらの目的もあり、早く取り掛かってもらいたいので、惜しみなく払いました。

ところが、最終的にこの家がどう完成するのか、それを確認するための十分な資料が僕には見当たりませんでした。

部屋がどうなるのか。設備をどこに配置するのか。棚の内部はどうなるのか。スタジオの配線はどう通すのか。

全体を確認できる3Dイメージや、構造を把握できる図面などが十分に提示されないまま、現場でその都度判断しながら工事が進んでいるように見えました。

下の資料は、不安になって、僕自身が作成したものです。この程度でも、事前に全体像を共有できる資料が欲しかったのです。

自分で作成した完成イメージ
僕が作成した完成イメージ。
工事中の室内
実際の工事中の室内。

僕自身でも、たとえば税務調査があった場合に説明できるよう、「ここは修繕」「ここはリフォーム」と30ページほどの資料を作ることがあります。

それだけに、大きな工事なのに完成形を確認する資料が十分にないことが、どうしても理解できませんでした。

「全部、書面にしてください」

2026年6月中旬、これ以上口頭でやり取りをすると、お互いの認識がさらに食い違うと思い、書面での整理をお願いしました。会社の組織で問題を解決してくれるのでしょうけれども、その動きは感じられません。

  • これまでの工事内容
  • 変更された工事
  • 未施工部分
  • 外壁塗装がなくなった経緯
  • 費用の増減
  • 今後の工程
  • 最終的なデザイン

連絡についても、記録が残るメールを中心にしてほしいと伝えました。ところが7月末になっても、僕が求めていた整理は十分には進みませんでした。

気がつけば僕のほうが、「これはどうなっていますか?」「ここは施工されていません」「この寸法は合っていますか?」「図面はありますか?」「完成日はいつですか?」と、一つずつ確認するようになっていました。プロへお願いしたはずなのに、いつの間にか立場が逆転していました。

そして、そもそも会社に十分な情報が上がっていないのではないかという疑問まで持つようになりました。

同じ時期に、自社の新しい店舗も作られていた

担当者は同じ時期に、自社の新しい店舗の施工にも深く関わっていました。そのことは以前から僕にも伝えられていました。

その新店舗は、100年を超える歴史のある建物を活用したもので、担当者自身が責任者になるとのことでした。オープン時期は、僕の家の引き渡し予定時期とほぼ重なっていました。

そして、自社の新しい店舗は完成し、予定どおりオープンしました。

もちろん、会社としてどの現場にどれだけ人員を配置していたのかは僕には分かりません。店舗の工事と僕の家の遅延に、どこまで直接的な関係があったのかも断定できません。

「自分の店を優先した」と、僕から断定するつもりもありません。

その後、「7月は私の家に専念する」という話もありました。でも、そのときには、僕の中ではもう遅かったのだと思います。

自分を特別扱いしてほしかったわけではありません。自社の店舗を作ることが悪いとも思いません。

その店はオープンしました。

僕の家は、完成しませんでした。

30年近く付き合ってきたからこそ

今回、弁護士に依頼することになったのは、怒って相手を攻撃したかったからではなく、何を伝えても、会社としての対応がゼロだったからです。手が回らないのであれば、管理者や上長の対応や、連絡があっても良いでしょう。それすらもありません。

若いころに最初の家を探してもらい、その後も家を買い、リフォームをお願いし、僕の人生の節目に関わってきた会社です。だからこそ、疑わずに任せたのですが、完成形が見えず、工事がいつ終わるのかも分からない状態が長く続き、僕は、この場所で音楽を作れません。

現在は弁護士にお願いして、契約内容、未施工部分、工事の変更などを一つずつ整理しています。

人を信じられないような気持ちになり、恨むエネルギーも、怒る力も残っていません。ドアのないスタジオでは音がそのまま漏れ、音楽を作る気力もなくなりました。毎日、書類を繰り返し確認するだけで精一杯になり、自分が何をしているのか分からなくなることもあります。

今の段階では、この会社名を書くつもりもありません。

向こうの新しい仕事場は完成した。

僕の新しい仕事場は、まだ完成していません。

Good? Bad? Share
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

管理人です。多趣味です。
沖縄在住です。音楽好きです。ラジオが好きです。

目次