iPhoneアプリ Rectoolsの苦労話

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ユードーのM.T.Rアプリ、Rectools Unlimitedですが、藤本さんにレビュー頂きました。
藤本健のDTMステーション
どうもありがとうございます!

Rectoolsは、本当に苦労したアプリなのです。

音楽系のアプリケーション開発が面白くて、苦しい!のは、

こだわれば、開発にとても時間がかかるのです。
ボクも、ミュージシャンですから。

「1日も早く、効率化、即決断、実行」

とライフハックをすることが当たり前なソーシャルな時代、時代と逆行してゆっくりと、慎重にすすんでいます。

というのは、機能として、イロイロ追加したいことも沢山あるのですが、あらゆるケースを想定すると安易に手を入れられないわけです。

そもそも、レコーダーに専用設計していない、iPhoneですから

・iOSがバージョンアップする度に、ドキドキ
 →iOSがバージョンアップする度に安定しています。
・新しいiPhoneが出るたびに、ドキドキ
 →例えば、iPhone4以降、DOCの仕様が変わり、3GS対応のマイクデバイスが対応しなくなりました。
・初期のiPhone3Gだと、ギリギリ
 →録音した音を、モニターとして返す機能。

音響機器だとハードで対応しているのですが、本アプリだと、一度DSPで処理した音をすぐにヘッドフォンへ返す機能をプログラムで実現しないといけないのです。
初期のiPhoneだと、メモリーの書き込み、読み込み速度が遅くて、バッファメモリのサイズ調整が最後に残された解決方法でした。このバッファメモリの調整が絶妙でして、細かく増減設定をして、バッファを多く取ると、メモリ速度が追いつかない。バッファを少なくすると、CPUが追いつかない。ですので、このバッファサイズを、調整しながら、最適値を算出するのが、大変でした。

・デザイン
サウンドの機能以外、デザインやUIなど、極力無駄な挙動を減らして安定化をさせたのです。
無駄なことをさせない。シンプルなデザイン。でもカッコいい。

・こだわり
圧縮されたmp3やaacは取り扱えると便利ですが、wavにこだわりました。処理するのに、圧縮されていないwavの方が良いのと、圧縮展開をすると音が劣化してしまう。やはり、リニアにこだわりたいというのがあります。

・ノイズ
無音室でチェックできなかったので、富士山の麓で、電波も入らないようなところ、夜は虫の音しか聞こえない。そんな場所で、チェックしました。
実は、iPhoneは、3G回線へ定期的に通信しているのです。その度に、本当に小さなノイズが混入するのです。この問題、Appleも原因が分かったのか、iPhone4からDOC(底面)がデジタルの入力になりました。
さらに、録音中に電話がかかって来たら、マイクが優先的に電話へ使われてしまう。
ということもあり、エアプレーンモードに!と推奨してます。

・安定化への道
実は、iOSがマルチタスキングになると聞いたとき、ヤバイ!と思いました。
Rectoolsの動作に影響を及ぼすかもしれない。
しかし、大丈夫でした!
iOSもバージョンを重ねるたびに良くなって、しかも、初期の3Gと比べて3GSのハード進化は劇的でした。
当時は、ユーザーのメモリ環境や状況によって動作が不安定になることもあり、メモリクリアスイッチを用意したり、再起動をして、一度リセットをお願いもしました。

ということで3年ぐらい、改善を行いまして、今があります!

実は、バーチャル音源、VSTiに対応させる開発も行ったのですが、レコーダーアプリとして堅実なものにしようと、レコーダーに特化しています。

何か機能を追加する際には、周辺の挙動を中心にチェックしないといけない。

でも、iPhone3G時代に、アセンブラで最適化処理をした苦労が、Rectools Unlimitedに繋がります。
この処理が今のiPhoneにとっては、とても軽いので、何トラックも同時再生できるのです。
他のiPhone向けのレコーダーと異なり、用意されたレコーディング関数を使わずに、独自で作ったことが、苦労したものの、最適化できて超高速になったのです。

ということで、堅実に、ゆっくりと進めるのがRectoolsです。

よろしくおねがいします。

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この記事を書いた人

管理人です。多趣味です。
沖縄在住です。音楽好きです。ラジオが好きです。

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