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初めての国に向かうと、初日に探すのは日本食店だ。

体調を整えるために、お米や味噌汁を取りながら、現地の食に合わせていく。GoogleMapで調べると、店名が興味深い。「Fujiyama」 だとか、「Yokohama」、「Sakura」といった、地名や季語の店は、アジア系の人が経営しているお店は多い。

パリだとコンコルド広場に続く、シャンゼリゼ通りや、地元のショッピングストリートだと間違いなく、中国、東南アジア系の資本のお店で、はっきりいうと、ひどい。

味噌汁には、出汁がなくマッシュルームばかり入っているし、焼き鳥と言葉のとおり、キャッチボールができるぐらいの、まん丸いライスボール(=ご飯)といった、バランスの悪い組み合わせでお腹いっぱいは食べれる。怒れないのは、タイ人の板前さんは、「ヘイいらっしゃい!」と伝えてくれるのが滑稽だ。

近年は、ベジタブル寿司など、素敵な創作寿司もふえてきて、ロンドンの金融街、カナリー・ワーフの寿司店は、通行人に見られながら、恥ずかしくもポツリポツリいただいた。韓国系だったが、日本人ではない方が、工夫を凝らしていると思うことも増えた。

日本食がカジュアルになったのか、ニューヨークのマンハッタンだと、ランチは30-40$程度で美味しい築地直送のマグロをいただくことができたが、板前さんは、多国籍な従業員のぐうだらぶりに困っていた。日本人留学生のパートタイムは重宝される。日本であれば、叱り続けるだろう、私よりも5つ歳上の板前さんは、イライラしながら優しく指導をしているようで、苦労が伝わった。それでも、すりおろした「わさび」と、待たせたお詫びで追加でいただいた、TSUKIJI-ManhattanB.T.O-中トロは、今でも忘れない味だった。

店名は失念したが、最高得点は、シリコンバレーのマグロで色も艶も良い。

余談だが、ベリリンの日本料理店では、おそらく音楽大学の若い留学生が働いていたが、お酒を知らないのか、焼酎赤霧島のロックをお願いしたら、少々戸惑ったようで、グラスにそのまま「熱燗」で出てきた。せめて氷は別にした方が良いと教えてあげて、熱燗で氷を溶かす不思議なことになった。

芋焼酎をぐいっといただく日本人はいないのか、オーナーが日本人ではないことも想像ができた。それでも、揚げ出し豆腐は、緩やかに世界でヒットしているようだ。

僕が一番楽しみなことは、日本人の寿司屋が、祖国の感覚を忘れてしまったのか、ローカライズをしたのか、それともブレずに貫いているのか、ほろ酔いで感じることだ。

サーモンやマグロに関しては、日本と同じか、それ以上に、締まって美味しいことが増えたが、残念なことに、すし飯の大きさが不均等だったり、パラついていて残念に思うことがある。お米は、日本に近い品種がローカライズされていると聞くが、水が異なるのかもしれない。硬さが立ちながったり、ジメッとしていると、残念に思う。

国内だが、私が住む沖縄も独特で、どうもマグロだけは、沖縄産の割に締め方が悪いのか、見た目もだらんとだらしないし、ネタもぬるい。すし飯も、空間が狭すぎて握りすぎている感じがある。

沖縄で最近増えている、日本蕎麦屋も同様だが、サービス精神が強いのか、量が多すぎて、味をかみしめることを忘れ、ひたすら、残さないように食べる脅迫感が高くなるのだ。寿司も、蕎麦も、お腹いっぱいに食べる、沖縄のたくましさを感じる。

2019年は、ゲームショウの視察と、発達障害児童研究施設の訪問で、ドイツのケルンから始まり、ヨーロッパに1ヶ月滞在をした。

ホームシックもあるが、僕が海外で、ほろりとくることがあって、寿司のガリや刺身のツマを楽しむことだ。

出張中に、プライベートで訪れた、チェコのプラハで、どうしても日本食が食べたくなり、日本人経営なのか怪しい店名miyabiに入ってみた。東ヨーロッパでも中心部ということもあり、魚は期待できないとして、残念だが、ベジタブルセットを頼んだ。ヨーロッパ渡航は、ホテルを避けて、民泊にチャレンジしたのだが、海外渡航に慣れている私でも、軽いホームシックに陥った。プラハは英語も通じにくい。エストニアからチェコに向かった私は、クレジットカードを紛失をして、予備のカードで心細くもなっていた。予備で持っていたAmericanExpressは、旧東側の国々は本当に加盟店が少なかった。

景気付けとして、美味しいチェコの白ワインと、納豆巻き、大量のカルフォルニアロールと、河童巻きで量に困りながら、いただいた。キッコーマンの醤油は、きちんと醤油入れにはいり、ダイナミックな割に、ノリの巻き方で日本人だと察した。残念なのは、量が多いのかレイアウトはイマイチだった。

そして、ガリにこだわりを感じた。海外の日本食スーパーに向かうと、ガリの大量パックに遭遇をするが、紅色の強い着色で日本産よりも甘酸っぱい。チェコの店では、美味しいガリに勇気付けられた。

ガリは魚の臭みを和らいでくれる。チェコはベジタブルだが、ほかの国では生臭かったりすることも多く、青魚やサーモンなど耐えられないことがある。

この寿司は合わないって思った際に、ガリを多めに頬張るのだ。

また、白ワインは、ガリがよく合うと感るぐらい、ガリの追加注文をしたぐらいだ。チェコの作曲家、スメタナやドヴォルザークの博物館へ行き、あとで思い出した、娘の音楽テストにあった「国民楽派」の情緒溢れる音楽で、寂しい感じをジメジメ思いながら、酔いしれた。

板前は、日本から数年、数十年たち、離れた異国の地で、日本の料理を継承をしていく。時間をかけて、現地に調和をしていく中で、変わらないのはガリとキッコーマンだ。